
日本人にとって身近なお茶。冬はこたつで緑茶とミカン、夏は冷えた麦茶をゴクゴク!スーパーやコンビニでも多彩なお茶が並び、日常に欠かせない存在です。そんなお茶で「え?感動??」と思うような体験が、八王子で味わえるとしたら――。今回は、驚きと感動に出会える『升階茶寮(しょうかいさりょう)』をご紹介します!
分かりやすい場所、だけど隠れ家感満載
八王子駅南口から西に徒歩10分程度。南大通りと国道16号の交差点にある、16号に面した角にある建物の2階に『升階茶寮』はあります。車で通るときにこの看板を目にしたことのある人も多いのではないでしょうか。

さっと通り過ぎただけではやや分かりにくいのですが、入り口は交差点からすぐのこちら。

階段を2階へ上がり、右手のつきあたりを見ると、メニュー台の先にシックなドアが見えます。

勇気を出して中に入ってみると、ダークブラウンで統一された店内が広がります。

座席はおひとり様席、4人掛け、並びの2人掛け、カウンター席で構成。目線が合わないよう配慮された席は、ゆったりとしていて落ち着きます。


猫とTRPG(会話を楽しみながら遊ぶアナログなゲーム)がお好きなご主人の趣向が垣間見えるグッズが所狭しと並んでいます。シックな店内にも意外と馴染んでいるのが面白いところ。


店主の舌で選び抜いたこだわりのお茶
大きく分けて国産紅茶、中国茶・紅茶、冷茶、日本茶のカテゴリーに分かれています。自分で点てられる抹茶や、上質な茶葉を楽しめるメニューもあります。どれも実際に自分で飲み、納得したものだけをメニューに載せているとのこと。

茶葉のロット(収穫時期)が変わるたびに、茶葉の量・お湯の温度・蒸らす時間を調整して提供しているというこだわりよう。プロ意識の高さをうかがい知れます。とは言っても「格式高くて気後れしてしまうかも…」といった心配は不要!

メニューには茶葉の特徴が書かれていたり、ホットやアイス、ミルクティーや抹茶ソーダなどのメニューもあったり、訪れた人の好みで楽しめるメニューが充実しています。

こだわりのお茶にはこだわりのお供を
『お菓子』にはお茶を使ったアフォガートや贅沢に抹茶をかけたアイス、あべかわ餅やくず餅など和洋折衷に並びます(取材時、最中はおやすみ中でした)。

焼きたてのアップルパイやスコーンが楽しめるほか、メニューには珍しい磯部餅や、ミニホットドッグといった甘くない軽食も用意されていました。気分や好みによってメニューを選んだり、頼んだメニューと相性のいいお茶を聞いてみたり、楽しみ方が沢山あります。

4日前までの予約で楽しめる『クリームティーコース』と『アフタヌーンティーコース』もあります。こちらも気になる~!

和紅茶 みなみさやか(ティーポット) 800円
オシャレなカップとソーサーに、可愛らしい猫の柄ティーコジー(ポット保温用のかぶせもの)。ポットの中に茶葉は浸っていないので、濃くなりすぎるのを心配せずゆっくりと味わえました。

なんと中のポットも可愛い猫ちゃん柄でした!

淡いオレンジ色の澄んだ色合いで、一般的な紅茶とは異なる香りが特徴。ドライフラワーやポプリのようにふんわり柔らかく、強すぎないのに存在感があります。口に含むと苦みや渋みはほとんどなく、穏やかな甘さと芳醇な旨みが広がります。さらに時間が経ち温度が下がると、バラのように高貴な香りが立ち、しっとりとした甘みに変化していきました。

冷茶 宇治 品種茶ごごう 700円
脚付きグラスに注がれた透き通る緑とたっぷりの氷が爽やか。さっぱりした味を想像しましたが、実際は濃厚で極上の甘みと旨みが口いっぱいに広がります。冷たい緑茶なのにまったりとした味わいで、抹茶を思わせる香り高さと繊細な渋みが合わさり、一口ごとにじっくり味わいたくなるほど。日本茶に親しむ人にこそぜひ体験してほしい一杯です。

がぶ飲み凍頂烏龍茶(ポット) 800円
今回の取材では唯一の中国茶です。こちらも、可愛い猫のモチーフのポットで出していただきました。凍頂烏龍茶といえば、一般的な烏龍茶と比べて色が淡く、華やかな香りと渋みがアクセントなイメージ。3種類の中では一番渋みを感じるものの、とても上品。

繊細なガラス細工のような上品な渋みが味と香りを支え、口の中に香ばしさと華やかさがふわっと広がります。余韻は淡く、繊細な渋みがすっきりと締めてくれる印象。軽やかで思わずがぶ飲みしたくなるおいしさですが、むしろ一口ずつ丁寧に味わいたくなる一杯です。時間が経つとキンモクセイのような香りが立ち、夏の終わりや秋の気配を感じられる風情も魅力です。

焼きたてスコーン 単品700円 紅茶セット1,300円
焼きたてを提供してくださるので、注文から20分ほどかかります。お茶を味わいながらゆっくり待ちましょう。テーブルに置かれた瞬間から、焼き菓子特有の小麦とバターの香りがふわ~っと広がります。

スコーン2つと、クロテッドクリーム・ブルーベリージャム・あんこがついてきます。
クロテッドクリームとは、乳脂肪分の高い牛乳をゆっくり加熱して表面に浮かんだ乳脂肪分を練り上げて作られるクリームです。生クリームとバターの中間ぐらいを想像すると近いかもしれません。

焼きたてのスコーンは外はサクサク、中はふんわりしています。粉質がきめ細かく、サクサク食感を楽しんだ後はなめらかにほどけていきました。全粒粉の食感のアクセントが楽しく、甘さ控えめでしっかり塩気が利いているタイプ。

クロテッドクリームをつけると、ミルク由来の甘みとコクが体温で上品にとろけていきます。スコーンにはクロテッドクリーム。定番で鉄板ながら、やっぱり最高。

ブルーベリージャムは程よいゆるさで、味はちゃんと乗るけど口の中でちょうどよくほどける絶妙な質感。この質感にもこだわって選んでいるそうです。

あんこはややしっかりめのつぶあんで、近頃の甘さ控えめ傾向の中では甘みがある方です。この甘さとあんこの風味とスコーンの塩気が、みんな大好き『甘じょっぱ』を最高なバランスで生み出します。

さらにあんことクロテッドクリームを組み合わせるとあんバターの上位互換的な味わいとなり、思わず口角が上がります。

スコーンとお茶は、組み合わせ次第でさまざまな味わいに変化します。
スコーン×みなみさやか:みなみさやかの旨み全開な味わいがスコーンと贅沢に手を取り合って、目を閉じて味わいたい高貴な気分に浸れます。
スコーン×ごごう:スコーンのバターや生クリームに、ごごうの持つ濃厚な甘さが絡み合って、まさかの一番の食べ応えです。
スコーン×がぶ飲み凍頂烏龍茶:スコーンの油脂分と塩気を、繊細な渋みと香りで華やかに流してくれる、エンドレスで食べ続けられます。


定番の紅茶を外したセレクトをしましたが、とても興味深く、飲むたび食べるたびに驚きと感動の連続でした。生活に根差し見慣れたはずの“お茶”というジャンルで、こんなにもワクワクして楽しいなんて!この喜びを感じに、ぜひお店に行ってみてほしいと思います。激推しです!!
升階茶寮 (しょうかいさりょう)
- 住所
- 東京都八王子市寺町29-12 メゾン・ド・ミリオン202
- アクセス
- 八王子駅北口 徒歩7分
- 営業時間
- 平日14:00-21:00(L.O.:20:00) 日曜14:00-19:00(L.O.:18:00)
- 定休日
- 月・第2・第4日曜、木曜日はコース、貸し切りのみ(要予約)
- Webサイト
- http://saryou.or.tv/top.htm
- @ssaryou
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