浴衣姿で八王子芸者と優雅に花街散策『八王子美髪店 浴衣で花街』体験レポ
黒塀が美しい八王子市中町。浴衣を着付けてもらい、当地で活躍する八王子芸者とともに散策するイベント『八王子美髪店 浴衣で花街』が2024年9月7日におこなわれました。実際に体験した模様をお伝えします。
浴衣で花街を散策
事前予約に申し込んで参加させていただいた今回のイベント。こちらが散策する中町の案内図です。まだ暑さが続く当日でしたが、「なるべく涼しいカフェで過ごしましょう」と、案内する八王子芸者・めぐみさんが考えられた散策コースを進みます。
八王子美髪店でまずは浴衣に
まずは12:00に『八王子美髪店』で集合。浴衣を着付けていただきます。場所は八王子駅北口西放射線ユーロード沿いに進み徒歩7分。黒塀カフェをこえて細い道に入ったところから見える看板が目印ですよ。
所在地:東京都八王子市中町9-12
店内の着付けスペースです。当日の浴衣は持参とレンタルを選ぶことができ、今回レンタルだった私はここからで選んで着付けをしていただきました。さすがはプロ、自分で着付けるのとは違い、歩いても崩れずきつくもなく、歩きやすい素晴らしい技術を体感させていただきました。
ヘアセットもしてもらえます。こちらの参加者の方、うしろ姿も美しく決まってますね。
浴衣レンタルのご予約は、身長と普段着ている服のサイズを事前に伝えておくとスムーズです。
『ゆき乃恵』お茶室
参加者全員の髪と着付けを待つ際に入ったお部屋が、こちら『ゆき乃恵』のお茶室です。芸者衆の皆様が、お茶やお花、踊りをされており、見ていても所作が美しい。さっそく、お茶室から美しく出てきてくださったところを撮影させていただきました。
和室が消えゆく現代日本では、床柱に香節丸太(こぶしまるた)が使われているのはなかなか見られません。こんなお部屋で待たせてもらえてウキウキします。それに、置屋さんに入らせてもらえるというのも貴重な体験です。
東京八王子酒造
というわけで中町散策が始まりました。最初に訪ねたのはこちら、2023年から営まれている『東京八王子酒造』さん。オーナーは八王子に酒蔵を作るため、まずは諏訪で酒蔵のオーナーとなり、10年かけて八王子に酒蔵を開いたとのこと。
めぐみさんの案内で店内を見学します。全体で38平米の敷地の中に、酒蔵も店舗も入っています。色々な酒蔵に行ったことがありますが、このコンパクトさはギネスブックに申請できるのでは?
広さはコンパクトですが、沢山の魅力的な製品が並んでおります。こちらで日本酒の発泡酒を試飲させてもらいました。シャンパンのようで良い意味で驚き。さらにここで、めぐみさんから土産に『お酒のジェラート』が。アルコールの入ったジェラートは初めての味でした。
八王子ブロッサム
次に訪れたのは『桑都テラス』の『八王子ブロッサム』さん。ちょうど2階のテラスから、八王子車人形の稽古のようすが見えました。国から指定された無形文化財である八王子車人形は、八王子芸者衆が共演する演目もあるそうで、ぜひ見てみたいと思いました。
写真は、ほかの参加者と一緒にテラスから稽古を眺める様子です。ヘアセットされた後ろ姿も、浴衣の着付けも、『八王子美髪店』で決めたもの。絵になりますね。
サラダやパスタを食べつつ、ワインやビールで乾杯!昼から呑める贅沢な時間の流れです。
『八王子ブロッサム』は店内もとても和装が似合うお店でした。
八王子三業組合事務所
『八王子三業組合事務所』には『八王子黒塀に親しむ会』の看板もありました。こちらの敷地内には三業稲荷大明神も祀られています。
参加者の方と、このシャッターのデザインも素敵!と言いながら和やかに散策しました。奥に神社もあります。
琥珀双葉堂(旧・待合)
つづいては『琥珀双葉堂』さん。昔は待合(芸者さんを呼べるお店)だった建物で、昔の建具を残しつつリフォームされている店内は和モダンな雰囲気です。ちょうど落語の催しで沢山のお客様がおり、和やかな雰囲気の中でカクテルをいただきました。中町の奥まった場所に、こんないいところがあったのですね。
すずめさんがお水を入れてくださるところですが、所作の美しさに見惚れてしまいます。ふとした瞬間の立ち居振る舞い……日々のお稽古の賜物なのでしょうね。
本を手に取って静かに読むのも似合う店内。奥には桜の木を皮付きのまま使用した、変木の飾り柱があります。手前の柱も立派です。古民家を活かしその雰囲気を活かした内装に心踊ります。
老朽化で壊されていく日本家屋が多いなか、うまくリフォームし残されているのは嬉しいですね。日本家屋を使い続けて残すことは、壊して燃やして二酸化炭素にしないため温暖化問題にも貢献しています。ですが、取り壊して立て直すほうが安くて簡単なので、こういう取り組みへの推進を願っているものの、なかなか難しいようです。
黒塀カフェ
最後は『黒塀カフェ』に行きました。店内は洋風で豪華でした。こちらでは、めぐみさんが主催する『茶フタヌーン』という企画が定期的に開催されており、そこではテーマの色を身につけて来るという楽しいルールもあるそうです。
『紅茶』と『檸檬ケーキ』をいただきました。同店の紅茶は日本では珍しい『ロンネフェルト』というドイツの紅茶を扱っています。上層部分のレモンクリームムースが絶品で、とくにおすすめです。
優雅な飲食やお土産は参加費込み
じつは、ここまでの飲食、さらにはお土産も参加費(12,000円)に含まれていました。「黒塀のお店を紹介したい」という、めぐみさんは思いがあるこの企画、ほとんどご自身の利益はないのだろうと……。ホスピタリティ溢れ、花街に愛のある方なのだと思いました。
伝統文化を実感
今回ご紹介いただいたどの場所も、「古き良き伝統文化を復活させて守っていこう」という気持ちと行動力が感じられます。最後に『ゆき乃恵』へ戻る途中、黒塀の小路を通りながら、「皆さんの思いで守られた中町の黒塀なんだ」「これから黒塀がもっと増えて活気づいていくといいな」と思いました。
散策のおわりに
黒塀を保護したり、中町の八王子芸者衆が復活したり、酒蔵をコンパクトに復活させたり……八王子には独自の文化があり、それを復活させて守る人がいるところに感動いたしました。
日本各地を旅しており、だんだん全てが同じチェーン店に溢れる地区ができていくことに危機感をもっておりました。その地区のユニークな文化を守ること。これは、日本の観光資源としても貴重です。できることなら、日本各地がこういうオリジナリティ溢れる取り組みをし、活気を取り戻していってほしいですね。
八王子にこんなすごい取り組みをしている場所があるのか!と驚いたので、ホームタウンとして住んでいる方もこういう地元の面白さを発掘していくのも楽しい時間だと思います。
祇園や金沢の東茶屋街や倉敷などを散策したところから比較すると、コンパクト!が八王子花街の売りなのではないか?とも思いました。何もかもがぎゅっと詰まってて濃いです。一度は体験してみないと勿体ない何かがありました。
八王子花柳界について
現在は復興している八王子花柳界ですが、1990年代には風前の灯でした。もし八王子花柳界にご興味があるかたは、浅原須美氏が10年取材したドキュメント『芸者衆に花束を。八王子花柳界、復活』 や、八王子花街の再興要因について記録する、日本建築学会の論文をお読みになるのがおすすめですよ。
花街をめぐみさんの案内で散策するという特別な体験をさせてもらって、贅沢な非日常を味わいました。観光で八王子にいらしたら、もちろん在住の方も、ぜひ体験してほしい特別な体験です。
美容室 八王子美髪店
- 住所
- 東京都八王子市中町9-12
- アクセス
- 八王子駅北口 徒歩6分
- 営業時間
- 9:00~14:00 予約時に時間の相談可
- 定休日
- 日曜日
- 電話
- 042-624-7372
- Webサイト
- https://hachioji-bihatsuten.com/
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